Webマーケティング業界という定義をここでは、「Web(インターネット)を用いて自社もしくはクライアントの事業を発展させる業界」とします。
より簡単に言うとWebの何らかの手段を用いて会社の売り上げを上げることをしている業界です。
そのWebマーケティング業界ですが、過去がそうだったように絶対にこのまま何も変わらないということはあり得ません。
ではWebマーケティング業界の将来性は明るいのか?答えは明るいだろうと言えます。
なぜ明るいだろうと言えるのかというと、
- インターネット自体がここ数十年で生まれたものでまだまだ発展途上であるということ
- 市場データでも今後の市場発展が見込まれていること
- そして今や経営戦略の一端を担う領域になっているということ
が挙げられます。
Webマーケティング業界の将来性は明るいと申し上げましたが、ではその業界で働く人々の将来性はどうなのか?
その答えは条件つきで明るいだろうと言えます。
その条件とは、思考力・知識・経験をアップデートしていけば、という条件がつきます。
では、Webマーケティング業界の現状やAIとの共存、業界で働く人(Webマーケター)などについて具体的に考察していきます。
現在のWebマーケティング業界について
まずは現在のWebマーケティング業界の市場規模を解説します。
Webマーケティング業界の市場規模
Webマーケティング業界が儲かっているかというと、儲かっています。
コロナ禍ということもありWebの需要が増えたこともありますが、元々市場規模は右肩上がり堅調に推移してきました。(下図参照)
今や様々な商売がWebなしでは成り立たなくなっています。
引用元:総務省 日本の媒体別広告費の推移
インターネットの黎明期は、Webを用いた広告は珍しく、検索エンジンで上位に表示させアクセス数を上げる施策(SEO)も今とは比べ物にならないくらい粗いものでした。
しかし現在はその市場規模と比例するように洗練されてきており、Web広告には広告の専門知識が、SEOにも同様にSEOの専門知識が必要になってきました。
そして知識と同時に経験も必要になってきており、Webを用いた戦略を立て実行する上で専門家が必須の状況となっています。
何が言いたいかというと、どんな企業も専門家を必要としており、その専門家は他部署(例えば営業部署など)から配置換えをして「はい、覚えてね」では通用しなくなってきているということです。
それでは、その専門家を企業は確保できているのでしょうか?
Webマーケティング業界は人材不足
前述した通り、企業はWebマーケティングの専門家を必要としています。
しかし企業が求める人材は不足しているというのが現状です。
例えば「誰でもいいからWebマーケターを!」というのであれば、それは確保できます。しかし、それぞれの企業の状況にマッチした必要な人材が確保できるのかといえば、NOです。
企業の規模やWebマーケティングを行いたい事業、会社内の人員体制などによって必要な人材は異なります。
まず、もっとも必要とされるいわゆる上流工程「今はどういう人材が必要なのか」「Webマーケティングの戦略を経営レベルで考えられる」人材が不足しています。
そして、Webマーケティングの戦略を実行する人材、Web広告運用者やSEO担当者、Web解析担当者など実行役を一定以上の水準でこなせる人材も不足しています。
さらに言うと上記の2種の人材よりはマシな印象ですが、WebマーケティングとWebサイト制作を繋ぐ役割をこなせるWebディレクターも不足しています。
世間ではプログラマーが足りないと叫ばれて久しいですが、エンジニア業界ほどではないもののWebマーケティング業界でも人材不足が続いています。
なぜ人材不足が続いているのか
今も現場の第一線で働いている身として感じるのは、経験のあるWebマーケターが育っていないし、そもそも絶対数が足りていないということです。
プログラマーを育てる社会人向けのスクールはかなり前からありましたが、Webマーケターを育てるスクールが増えてきたのはここ数年です。
まだまだ人材の流入が足りていないというのが現実だと思いますし、流入した人材が育つには時間を要するということだと思います。
また企業の数だけWebマーケターは必要です。
企業の規模は関係なくWebマーケティングを外注するにしても、自社のWebマーケティングを担当する人員がいないとうまくマーケティングを実行できません。
この企業でしっかりと外注先に自社の意図を伝えコントロールできるWeb担当者も人材不足です。
さらに自社内にWeb部署を作り自社内で完結させるインハウス化を行う会社もあります。
Webマーケターは、こういった企業活動の様々なフェイズで必要とされています。
簡潔に言えば、その需要に供給が追い付いていないのです。
急速に発展を遂げるChatGPTに代表されるようなAIソリューションの台頭もあり、業務の効率化は進んできています。
そのAIソリューションは業務の効率化だけでなく必要な人材数(需要)を抑えることが出来るでしょう。
数年もしくは十数年でみればこの需要と供給のバランスは落ち着くとも考えられますが、しばらくは人材不足が続くと考えられます。
将来のWebマーケティング業界 AIは脅威になるか
ChatGPTに代表されるAIの登場で、Webマーケターは職を失うのではないかと考える人もいるかもしれません。
未来のことは誰にも分らないので、物凄い勢いでAIが発展し多くの部分をAIが担う可能性を否定はしません。
しかしAIにできないことがWebマーケティング業務にはあります。
すべてAIではWebマーケティングは動かない
AIにできないこと。それはWebマーケティング戦略の立案をし責任をもって実行することです。
AIはWebマーケティング業務の助けにはなります。すでにGoogle広告やSNS広告ではAIによる広告運用の最適化が行われているように、段々とWebマーケティング業務の実行フェーズでAIは活用の場を広げていくでしょう。
Webマーケティングの戦略立案の実業務でもAIは利用されるようになるかもしれません。(厳密にいえばすでに利用されているとも言える)
しかし、すべてをAIに委ねて会社の存亡をかけられる社長がどのくらいいるでしょうか?
もしAIがWebマーケティングの戦略を立案したとして、その良し悪しをだれがどう判断するのでしょうか?
Webマーケティングの実行フェーズでも同じことが言えます。AIによる最適化が果たして正しいと誰が判断するのでしょうか?
それは最終的にはWebマーケティングに精通した専門家、つまり人の介入が必要ということです。
AIにできることはAIに任せ、AIにできないことをWebマーケターが行う時代に
すぐに目に見えるようなAIと人の業務分担化が起こるかはわかりませんが、将来的にはAIと人の業務分担は起こる事象と考えます。
よって、そのころにはWebマーケティング業界の人材不足も解消されるかもしれません。
未来は誰にもわかりませんが、一つだけ言えるのはWebマーケティング業界において完全にAIが人に取って代わるということはないということです。
将来もWebマーケティング業界で仕事を得ていくキャリア像
ではAIなど変化が常にあるWebマーケティング業界で生き残っていくにはどのような人材になればよいのでしょうか?
答えは二通りあると考えています。
オールマイティ型
Webマーケティング業界の業務を一通り分かっており、一つ一つの知識や経験は以下の専門家型の人材には劣るものの幅広く知識や経験を持っている人材をオールマイティ型としました。
このオールマイティ型のキャリアパスは、CMOなど経営にも関わるようなWebマーケティング戦略を担うのを目指すキャリアパスです。
このキャリアパスでは企業の現在の状況を分析し、どのようなWebマーケティングを実施すべきかを立案できるようになる必要があります。
そのためには、例えばSEOや広告運用といった集客面だけ強いだけでは厳しいでしょう。
オールマイティ型の人材には、幅広い分野での知識や経験を活かすことによって、現状の企業の打ち手として何が優先されるべきかを判断することが求められます。
また、CMOやWebマーケティングの責任者ポジションと想定するとマネジメント能力も求められるでしょう。
つまりオールマイティ型で生き残っていくには、戦略立案能力とマネジメント能力を伸ばしていくことが重要です。
将来的にAIとの共存が必要になったときでも、戦略立案能力とマネジメント能力は廃れないスキルと考えられます。
専門家型
専門家型はWebマーケティングの一つの分野に特化した人材型です。
Web広告の運用に特化した人材、SEOに特化した人材、データ分析に特化した人材などが考えられます。
大企業で内製化された部隊の人材はこのタイプが多く、自分で選んだもしくは自分に任された分野をトコトン極めていく必要があります。
どちらかというと使われる側の人材となりますが、この型で生き残っていくにはその道の最先端を常に走っていく必要があります。
Webマーケティングのマネジメントを行っている上長とのコミュニケーション能力も必要で、自分の知識をチームの中で最適化する能力が求められます。
将来的にAIの介入が多くなったとしても、その分野のエキスパートとしてAIの判断の良し悪しを判断したり、どのようなAIソリューションを導入すべきかを判断したりする人材として必要とされると考えられます。
共通して言えること
二通りのキャリアパスの型を紹介しましたが、共通して言えることは変わっていくWebマーケティング業界に順応する必要があるということです。
「昔はこうだった」「自分のやり方を変えたくない」といった思想では、現在のWebマーケティング業界でも生き残っていけないです。
例えばSEOのやり方は昔と今とではまったく違います。
具体的には昔は被リンク(外部のサイトから自社のサイトへのリンクのこと)をたくさん集めれば検索順位の上位表示ができましたが、いまはそれだけでは出来ません。
Web広告もAIによる最適化が行われるようになり、広告費の効率的な運用方法は変わってきています。
アクセス解析にしても2023年7月に長年使われてきたGoogleAnalyticsというツールがGoogleAnalytics4へ進化し、使い方はかなり変わります。
こういったことが頻発するのがWebマーケティング業界であり、この変化に順応していける人材でないと生き残れないと言えるでしょう。
またいわゆるロジカルシンキングも共通して必要な素養です。
何となくこう思うではなく、何かしらの根拠を元に施策を作るのは当たり前の業界です。
100%成功するということは無理でも、少しでも成功の確率を論理的に上げていく。この考え方は共通して必要です。
Webマーケティング業界のメリット
Webマーケティング業界である程度スキルや経験を積めば本業の会社員としての給与だけでなく、副業での収入も見込めます。
例えば週に数時間だけ時間を確保して他社の案件に携わるということもできますし、自分でサービスを作成して運用するなんていうこともできます。
さらにいうと独立してフリーランスとなり、会社員より自由な働き方を実現したり、より大きく言うと会社を起業するのにも向いています。
ざっくり言うと会社に依存しなくても、個人で稼げる職種であるということです。
Webマーケティング業界のスキルや経験は、副業→フリーランス→起業と徐々にステップを踏める数少ないスキル・職種でもあります。
今は独立するという考えがなくても、会社に依存せず自分のスキルで勝負できるという業界なので、将来の選択肢は増えると考えられます。
Webマーケティング業界の今後の市場動向
ここまでWebマーケティング業界のヒトに関して解説してきました。
ではWebマーケティング業界の将来の市場動向はどうなのかと言いますと、これも好調に推移すると言われています。(下図参照)
引用元:インターネット広告市場に関する調査を実施(2021年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
前述した通り、現在そして少し先の未来まではWebマーケティングは企業にとって欠かせない領域です。
しばらくは堅調にWebマーケティング業界は推移していくと考えられます。
ただ数十年先の未来はわかりません。
何かしらの技術革新が起こりインターネットに変わる何かが台頭しているかもしれません。
しかし例え何らかの技術的革新が起こったとしても、Webマーケティング業界で必要な思考力(ロジカルな考え方)はどの分野でも応用が利きます。
Webマーケティング業界が変化が多いように、世の中全体も常に変化します。永遠に続くものなどないので、変化の多い業界に身を置いている方が何かしらの技術革新で変化を強いられたとしても柔軟に対応できるのではないでしょうか。
Webマーケティング業界へ飛び込もう
ここまでWebマーケティング業界の将来性について解説してきました。
まとめると、
- 現在のWebマーケティング業界は人材不足
- AIでWebマーケティング業界で働く人が不要になることはない
- Webマーケティング業界での将来を考えるのであれば、自分で考えてキャリアを積んでいく必要がある(本記事では2つの型を紹介)
- Webマーケティング業界で経験を積めば、副業やフリーランス、企業など様々な働き方をできるメリットがある
- Webマーケティング業界の将来的な市場堅調に推移すると予想される
以上となります。
現在は人材不足でWebマーケティングなどのスクールを経て業界にも入りやすい状況だと思います。
将来性をみても他の業界と比べて良いと考えられるのではないでしょうか。
Webマーケティング業界へ飛び込んでみようかな?と少しでも感じていただければ、この記事を書いて良かったと思えます。
ぜひWebマーケティング業界への足を踏み入れていただければと思います。
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