そもそもWebマーケターとは?

Webマーケターといっても、広告代理店のWebマーケターと事業会社いわゆるインハウスのWebマーケターでは違いがあります
さらに会社によっては分業体制が進んでいて、SEO専門だったり、コンテンツ運用専門だったりと仕事内容も変わってきます。
ここでは、一般的な広告代理店と事業会社に分けて紹介していきます。

仕事内容

広告代理店

広告代理店でのWebマーケター業務は主に以下のような内容です。

  • クライアント企業へのWebマーケティング戦略提案
  • Webマーケティング戦略に基づく広告プラン提案・運用
  • Webマーケティング戦略に基づく調査や効果測定

以上のようなことが主な仕事内容になります。
広告代理店での業務は、クライアントのWebマーケティング戦略を成功させることが目的です。自社案件ではないので、クライアントの企業としての目的やWebサイトの存在意義から理解し、業界を調査・分析してクライアントのWeb担当者と同じ視点を持つことも求められます。
その前提を経てWebマーケティング戦略を立案していきます。

インハウスである事業会社と違い、様々なメディアをすでに取り扱っていることや、扱う件数が多いことからスキルや経験を得るには良い環境です。
しかしクライアントを相手とするので、インハウスより伝える力が重要になってきます。つまり距離感が社内にいるのと、社外でいるのでは大きく異なるということです。

具体的な仕事内容は所属する会社の特色によって異なりますが、一般的には以下のようなことが挙げられます。

  • 集客戦略立案
    事前にクライアントからヒアリングを行い、どのような目的でサイトを運用するのかを確認し、市場調査や既存サイトの調査を行います。
    そのうえで、リスティング広告やSNS広告、SEOなど当たり前なものから、クライアントの性質に合えば記事広告やインフルエンサーを使ったマーケティング、アフィリエイト広告などを提案します。
  • サイト改善立案
    集客戦略と合わせてクライアントサイトの解析を行い、課題の抽出と改善点の立案を行います。
    広告と合わせる場合は、LPO(ランディングページ最適化)を立案することが多いです。
  • 効果測定・レポーティング
    集客とサイト改善を行った後は、運用フェースに入ります。
    広告の効果がどのように出ているのか、改善していくにはどのような施策があるのかを月次でレポーティングします。

以上が広告代理店での仕事内容になります。
あくまで私の印象かもしれませんが、市場価値的には広告代理店での業務を経験したほうが高くなる傾向が感じられます。
インハウスマーケターは、自社のマーケティングのみを行うのに対し、広告代理店でのマーケターは様々な業界のクライアントを持ち、数もこなす傾向があるのでそのようになっているのではないかと推測しております。

よって未経験でのWebマーケター転職は、広告代理店への転職を私はお勧めします
すでにWeb業界で就業している方の場合は、事業会社への転職でも良いかもしれませんが、未経験での採用は難易度が高いと思われます。
難易度を下げる方法としてはWebマーケター専業ではなく、例えばWebデザイナーで入社してWebマーケターもやらせてもらうなど、業務を兼任することで採用率を上げることが出来ます。(採用する会社側にWebマーケターがいなければ可能性は上がるでしょう)
ただし、採用する会社側がエキスパートを望んでおり、業務を兼務するということに難色を示すことも充分にあり得ます。この時は縁がなかったと思うか、事前の書類選考の段階で志望動機などにWebマーケター兼務を希望する旨を入れ込んでおくとミスマッチを防ぐ可能性が高くなります。

次に仕事量や仕事のしやすさです。
どちらが仕事量が多いかはもちろん会社によって異なりますが、担当する会社が多い分クライアントへ最大限のWebマーケティング戦略を行うことを考えれば、広告代理店のほうが仕事量は多いと考えられます。
スケジュールも事業会社の場合は、ある程度個人の裁量で決められますが、広告代理店の場合はクライアントありきになることもあるので、そこも考慮に入れると広告代理店のほうが、率直に言うとキツイと思われます。

仕事のしやすさという意味、ここではWebマーケティング戦略の立てやすさ・実行のしやすさでは経験上インハウスマーケターのほうに軍配があがると考えます。
なぜなら広告代理店勤務の場合は、どうしてもクライアントの意見を尊重しなければいけないことがあります。あくまで外部の人間なので、内部事情(正確な予算や各部門の責任者の意向など)がわからないため踏み込めない領域があるからです。
その面でいうと、インハウスマーケターの場合は社内事情を考慮したうえでWebマーケティング戦略を立案することができます。自部門・各部門責任者との距離も広告代理店より近いので、やりやすさの種類が変わってきます。

ただ前述したように、広告代理店勤務経験があるほうが、転職市場の価値は高くなる傾向を経験上感じておりますので、経験値を増やすという意味でも最初は広告代理店勤務をお勧めします。
さらに言うと、広告代理店の場合はそれまでに蓄積されたノウハウがあります。レポートの出し方、戦略の立て方など定型化されているものもあるでしょう。そういったものを知っておくことは後々の財産になります。
また後々フリーランスなど独立を考えている方に覚えておいていただきたいのは、フリーランスで案件を受ける際に広告代理店勤務を条件にしている案件もあります。なので、後々独立を考えている方は広告代理店勤務をお勧めします。

事業会社(インハウス)

事業会社(インハウス)でのWebマーケター業務は主に以下のような内容です。

  • 自社の事業戦略を理解した上で、Webマーケティング全般に立案
  • 社内のWebマーケティングチームの人員や予算を考え、内製と外注を駆使して立案したWebマーケティング戦略を実行
  • 実行したWebマーケティング戦略の効果測定・改善立案

以上のようなことが主な仕事内容になります。
広告代理店での業務とは違い、扱うのは自社の商品やサービスになります。なので自社の商品やサービスを理解するとともに、社内の関係部署と連携して戦略を策定する必要があります。
クライアントワークである広告代理店での業務と違い、自社の商品・サービスに集中できるのがインハウスの良いところです。
また事業責任者・マーケティング責任者との距離も外部の人間である広告代理店の時とは明らかに違う近さなのも良いところです。

悪い点としては、Webマーケターの経験者がいない職場の場合、独学で進めなくてはなりません。人によりけりですが、実際に失敗・成功経験を重ねたほうが良い人と、失敗経験で挫折してしまう人もいるでしょう。この点は注意が必要です。
また広告代理店では当たり前のようにあるノウハウや広告商材がない状況からのスタートになります。未経験の場合、リスティング広告を自分で運用したりもできないので、かなり苦労することになるでしょう。
Webマーケターというより、自社Web担当者という立ち位置で広告代理店のコントロールをする立場で動くという手もありますが、これも良い広告代理店の見分け方や、やりたい広告(例えばインフルエンサー広告)はどの会社を使えばいいのかなど戸惑うことは多いと思います。

上記を踏まえると、事業会社のインハウスマーケターはある程度広告代理店で経験を積んでから挑戦するほうが無難です。
ただ事業会社のマーケターはあまり数が多くないので、転職活動の際に好きな会社や商材・業界の求人があったらトライするのも良いと思います。

具体的な仕事内容は以下のようなことを行うこととなります。

  • 自社の事業戦略理解と分析・調査業務
    会社によっては事業戦略がしっかり行われていない場合がありますが、事業戦略がしっかりとある場合は、その戦略を理解しWebマーケティング戦略に落とし込む必要があります。
    また自社の強みを理解することや、自社の属する業界の調査・自社サイトの分析など、Webマーケティング戦略を立案するうえで必要な調査・分析作業が必要になります。
  • 分析・調査業務をもとにWebマーケティング戦略を立案し、内製もしくは外注で施策を実施する
    自社にもっとも合った集客やサイト改善プランを社内リソースを把握した上で実行します。社内に適した人材がいない場合や予算によっては、自ら広告の運用を行う必要があったりと自社の環境に合わせて臨機応変に対応する必要があります。
  • 実施した施策の効果測定・改善立案
    ここは広告代理店での業務と変わらず、所属する部署や上司に対して実施した施策がどのような効果を得られたのか、今後どのように課題に取り組むのかをレポートします。

以上のようなことが主な仕事内容となります。
インハウスでの業務で重要なのは、社内の各部署との連携や協力です。特にほかの部署の方々はWebの専門家ではないので、専門用語などを使わずわかりやすく伝えるなどコミュニケーション能力が必要となります。
一般的な会社では営業部が強い影響力を持っていたりするので、そのような部署と緊密に連携して同じ目線で課題を共有し業務に取り組む必要があります。

また会社によってはIT化が進んでおらず、非効率な会社運営となっていることもあるでしょう。
その場合は、率先してIT化促進を図るように提案していくのもマーケターとしての成長に繋がります。
私の経験では営業報告がFAXで、その営業報告を紙からExcelへ取り込んでいるという会社がありました。業務として非効率なうえに営業の分析をするのにも不充分です。私の場合は、これをSFAおよびCRMを活用することで業務効率化および営業サポート力・分析力の向上を図りました。

やりがいと厳しさ

広告代理店・事業会社のどちらにも共通して言えることは、数字で結果を残さないといけないということです。これはやりがいでもあり厳しさでもあります。
この部分をやりがいと思えないと、精神的にきつい仕事になるかもしれません。

広告代理店

広告代理店のやりがいは、様々な業界のことを知ることができる点です。これは1つの業界を突き詰めていく事業会社(インハウス)業務では得られないものです。
様々な業界のことを知ることで、知識の幅も増え出来ることも増えていくことでしょう。
またきれいごとと言われるかもしれませんが、クライアントとのコミュニケーションで成果を出したときは非常に感謝されます。
クライアントの担当者の方によるので何とも言えませんが、感謝されることでモチベーションが上がることもあるでしょう。
また前述しましたが、広告代理店にはノウハウがあります。先人たちが苦労してブラッシュアップを繰り返してきたノウハウを吸収できるのもやりがいの一つになると思います。

広告代理店の厳しさは、やりがいの鏡のようなもので様々な業界に精通する必要があったり、常にアンテナを張り巡らしてクライアントに最適な提案を行うことが求められるので、常に情報の最先端を行く必要があります。つまりキャッチアップすべき情報の範囲が広いということです。
特に未経験の場合は、覚えることも多く最初は目の回る思いをすると思います。IT・Web業界未経験者の場合は専門用語が多く、会話の意味を理解することもできないかもしれません。それを一つずつクリアにしていく必要があります。
情報のキャッチアップがうまくいかないと、結果も出せすクライアントとの関係も悪化していくことがあります。関係が悪化すれば、クライアントは別の代理店に切り替えたり、嫌みの一つも言われたりといったことが起こることでしょう。
未経験の場合は、最初にタッグを組む先輩との相性も重要になってきます。面接のときにどのような過程を踏んでいくのか確認しておくと、入社前にイメージがしやすくギャップに苦しみ挫折するということを避けることが出来るかもしれません。

事業会社(インハウス)

事業会社(インハウス)のやりがいは、自社の発展に注力できる点です。入社した会社を好きになれば、これに勝るやりがいはないと思います。
また自社のみに注力できるということは、一つの業界を広告代理店のマーケターより深く知ることができ、その業界のエキスパートになることができます。
会社によりますが、Webマーケティングの成功・失敗で大きく業績に影響が出ることもあります。このような会社で成果を出せれば、会社の成長に大きく貢献できたという充足感を得ることができます

事業会社(インハウス)の厳しさは、社内調整の難しさが挙げられます。
Webを生業にしている広告代理店の同僚と違い、事業会社の同僚はIT関連に疎い人が多く存在します。Web戦略上で必要な施策であっても社内の人間に納得してもらえなければ実行はできませんし、実行できても運用段階で現場の同僚がうまく対応できないという状況では成果もついてきません。
また会社によってWebマーケティングに使える予算や人員に限りがあります。与えられるだけでなく、自ら切り開いていくようなメンタルでないと、どこかで手詰まりを起こすかもしれません。

未経験の場合は、会社に貢献できるまでに時間を要することがあり、そこで人によっては歯がゆい思いや、自己否定をしてしまうかもしれません。
こればかりは未経験者の宿命であり、覚悟を持って受け入れ一日も早く自社の発展に貢献できるように学び・成長しましょう。
また前述しましたが、Webマーケターの先輩がいない会社の場合は誰も教えてくれる人はいません。独学で学び・経験していくしかなく、成果も求められれば苦しい思いもすると思います。

向いている人、向いていない人

向いている人

  • 論理的な思考で物事を考えられるひと
  • 数字に強く、客観的な視点でデータなどの分析をできる人
  • 流行に敏感で、最先端の技術や情報を得るのが好きな人
  • コミュニケーション能力が高く、クライアントや関係部署の同僚と同じ目線で会話ができる人

向いていない人

  • 自分目線を優先してしまう人
  • 受け身の姿勢が基本な人
  • 仕事の範囲を自分で決めてしまう人

Webマーケターの仕事は、自分発信で誰かに物事を伝えることが多いです。そのため、その伝えるべき内容に価値がなくてはいけません。よって、伝えるべき内容が論理的に正しいこと、数値や分析結果に基づいていることなど提案内容が重要になってきます。
提案するにはコミュニケーション能力が必要で、それも自分と同等やそれ以上の知識を持っている人に提案することは稀ですので、クライアントや同僚。上司などと同じ目線で会話をする必要が出てきます。

このような能力が必要なことから、論理的ではなく自分がAということをしたいという「自分が自分が」という人や、自分から発信することが苦手な人には不向きな職種と言えるでしょう。
また事業会社(インハウス)は顕著ですが、Aという仕事だけやっていれば良いといった考えで、自分の業務範囲を決めてしまうような人の場合、業務の範囲が広く曖昧なWebマーケターという性質上向いていないかもしれません。

Webマーケターに転職、キャリアアップを目指すなら

以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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